バイオセントリズム

バイオセントリズムは、生命全体が宇宙の中心であり、物質世界や時間、空間などの全てがその生命に依存して存在するという哲学的観念です。この観念は、生物学者ロバート・ランザによって提唱され、彼の2007年の著書「Biocentrism: How Life and Consciousness are the Keys to Understanding the True Nature of the Universe」で詳細に説明されています。

バイオセントリズムは物理学や宇宙論に関する伝統的な視点を逆転させます。つまり、物質世界は独立して存在し、生命はそれに適応して進化してきたという古典的な見方ではなく、物質世界そのものが生命と意識によって形成され、観察されると主張します。ランザは、観測者が物理的現象に影響を与える量子力学の現象を引き合いに出し、この理論を支持しています。

しかしながら、バイオセントリズムは科学的な証拠に基づいて広く受け入れられているわけではなく、一部の科学者や哲学者からは批判も受けています。これは、バイオセントリズムがしっかりとした実証的な証拠によって裏付けられていないという主張や、この哲学が主観主義に過ぎず、客観的な現象を説明するには不十分であるという批判があるからです。